一眼レフカメラとレンズのイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

ノーガードでの日食撮影にはカメラのセンサーを焼いてしまう危険性がある。EOS Digital Rebel XT (= EOS Kiss Digital N) に 400mmF2.8 を付けて太陽に向ける実験。「太陽が入った構図でたくさん撮ってるけど壊れたことないし、向けちゃダメってのは都市伝説だろ」みたいな話もあるが、このくらい大口径のレンズだとやはり数秒で焦げるんですね。まあ太陽を撮るのに F2.8 とかには普通しないけど。

2012年の金環のときにも同じ議論があったらしい。イメージセンサーに写る太陽像の表面輝度(単位面積当たりの光量)σ は、焦点距離が一定(= 像のサイズが同じ)なら対物レンズの開口部の面積、つまり口径 D の2乗に比例する。一方、像のサイズは焦点距離 f に比例して大きく写るので、像の面積は f2 に比例し、口径が一定(= 入射光量が同じ)なら σf2 に反比例する。まとめると、太陽像の表面輝度 σ は口径比 F を使って

\[ \sigma \propto \frac{D^{2}}{f^{2}} \propto \frac{1}{F^{2}} \]

となり、レンズのF値だけで決まることが分かる。つまりF値が同じなら望遠だろうが広角だろうが像の濃さは同じ。400mmF2.8 レンズの絞り開放でもスマホカメラの 4mmF2.8 でも変わらないということになる(野尻さんの tweet の通り)。ではなぜ上記の実験で 400mmF2.8 レンズでは焦げるのに、ふだん太陽入りの構図で写真を撮っても焦げないのか? 俺もよく分からないが、放熱能力が像の面積にスケールしないせいかなと思う。400mmF2.8 レンズは 4mmF2.8 レンズより100倍大きな像を結び、10,000倍の総光量をイメージセンサーに与えるので、像がでかくなってトータルの入射光量が増えると放熱が追いつかなくなって温度が上がって融けるのではないか。あとまぁ、ふだん広角で太陽の入った写真を撮る場合には F2.8 よりずっと絞り込まれているという要因もあろうし、露出時間も1秒よりずっと短いからそこも違う。